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JR大和路線の停車駅案内

路線図の作成

路線図作成に求められる技術

 普通列車、快速列車、特急列車、その他何本もの路線でネットワークを構成しているエリアにおいて、わかりやすい路線図や停車駅案内図を提案しました。良い路線図の作成には特殊な技術と経験が必要だと考えます。一つには、上下左右に行き交う路線と膨大な数の駅情報をいかに限られた紙面に詰め込み、かつ、それぞれの情報が誤りなく伝わるようにできるかが腕の見せどころです。そのためには、路線の線幅を適切に設定し、駅を表す点の形や大きさを検討、さらに駅名を記載する文字の大きさや並べ方を検討するなど、緻密に計算をしながら表現方法の検討を重ねる必要があります。ただ、そのようにして情報を詰め込んだだけの路線図は、こんがらがった糸のように線が入り乱れたり、米粒のような駅名が右往左往に散らばって目当ての駅が見つけづらかったりと、目にもうるさくて見る気が起きないものになっているかもしれません。

JR京都線の停車駅案内
JR京都線の停車駅案内

魅力的な路線図を作るために

 良い路線図を描く技術のもう一つには、それらの膨大な情報をいかに“見たくなるもの”にできるかです。たとえば、路線を引く角度を水平、垂直、斜め45度のみに制限すると図全体が整然とするので、目的の駅を見つけやすくなり見る人のストレスを抑えることができます。また、JR西日本の地図式路線図では、海岸線を描き入れることで駅の地理的位置関係を把握することができます。京都・大阪・神戸エリアは特に観光客も多いため、地理が把握できる路線図で関西国際空港やUSJ、新大阪駅と京都駅の距離感を掴んだり、路線図を視覚的に楽しんでもらうことができます。

JR西日本 広島エリア駅ナンバー路線図
JR西日本 広島エリア駅ナンバー路線図

プロの路線図デザイナーとしての責任

 路線図のデザインも、通常のサインや案内図と同様に、使われるシーンを想定することを心がけています。手にもって見る、デジタル上で拡大表示ができる、案内サインとして壁に掲示するなど、使われるシーンによって適切な文字のサイズや余白のあり方は必然的に違ってきます。たとえば、停車駅案内図の場合、列車の乗降ドアの上に掲示されるので、実際に原寸のプリントをドア上と同じ高さに貼り付け、読める文字であるかどうか何度も確認してデザインを決めていきました。

 また、路線図は地図の中でも公共性の高いものであり、様々な身体状態の人に理解してもらえる必要があります。各路線の区別を描く線の色で表現することが多いですが、実は色の見え方は人それぞれで、赤系の色と緑系の色が同じ色に見える人が存在します。このような人々にも正確に路線を区別できるように、疑似的にその人の見え方を再現してシミュレーションし、同じ色に見える路線は片方の線に柄を加えたり、色名を併記するなどして対策が必要になることもあります。

JR大阪駅 ホームに設置された縦型停車駅案内
JR大阪駅:ホームに設置された縦型停車駅案内

鉄道だけではない路線図デザイン

 前職では、鉄道だけでなく高速道路のサービスエリアに設置されるドライバー向け交通情報ターミナルの路線図を作成したり、また、利用客向けだけではなく交通を管理する職員向けの路線図を作成するなど、いくつものパターンの路線図を作成する経験を積むことができました。これらの経験で学んだノウハウを活かし、あらゆる使用状況においても、伝わりやすく、かつ見ていて楽しい路線図を提案します。

JR大阪駅:券売機コーナーの地図式運賃標
JR大阪駅:券売機コーナーの地図式運賃標